2024年7月15日月曜日

ローソク足チャートの話し

将来の株価を正しく予想できれば、必ず儲かります。
投資家は、将来の株価を何とかして正確に予想できないかと知恵を絞ってきました。

日本では、江戸時代に米相場が始まりました。米を安く買って、高くなってから売れば儲かります。相場師たちは、どうすれば儲かるかを必死で考えました。そうして生まれた日本人の大発明が、ローソク足チャートです。

ローソク足チャート、知っていますよね。騰落、始値、高値、安値、終値がひと目でわかるように図示したグラフです。下図は、6月以降のロケット・ラボのローソク足チャートです。下図は、1本の線が 1日の値動きを表すので、日足チャートと呼ばれます。


ローソク足チャートを誰が、いつ発明したのかは不明です。たとえば、マネックス証券の Web サイトには「ローソク足チャートは、日本の江戸時代に生まれた伝統のあるチャートで、現在では海外でも広く使われています」と記載されていますが、日本テクニカルアナリスト協会の Web サイトには「ローソク足は明治30年代にダイヤモンド社が開発した日本式チャートです」と記載されています。明治30年代には、まだダイヤモンド社は存在しなかったという反論があったりして、どの説が本当なのかはわかりません。当のダイヤモンド社には自社が開発したという記録は残っていないようです。

ローソク足は相場の勢いを見るには非常に便利なので、誰がいつ発明したかはともかく、似たようなグラフは、江戸時代から描かれていたのではないかと思います。手描きの場合、陽線(始値より終値が高い)は赤い墨で描き、陰線(始値より終値が安い)は黒い墨で描きました。印刷が普及してからは、白黒印刷に対応して陽線は白枠、陰線は黒塗りで表すようになりました。

ローソク足を見て、将来の値動きを予想する手法の 1つに「酒田五法」があります。酒田五法は江戸時代の伝説の相場師、本間宗久が考案したものと伝えられています。酒田五法に基づくローソク足の見方の概要については、ザイFX の「ローソク足の組み合わせ・酒田五法・平均足」を見ると良いと思います。酒田五法がどんな感じのものかを理解できると思います。赤とか黒とかが出てくるのは、墨で描いていた時代の名残です。

酒田五法は米相場のためのテクニカル分析です。それを現代人が株式相場や FX に適用しても、ほとんど当たりません。それどころか、数多くある様々なテクニカル分析に基づいて動作するアルゴリズムを搭載したコンピュータを使って売買しても、どれ 1つとして儲かりません。実践した人は何人もいます。そして、口を揃えて言います。「テクニカル分析はグソの役にも立たない」と。

私は、テクニカル分析を全否定する気はありません。1本1本のローソク足には、売買した人たちの思いが詰まっているはずです。先に示したロケット・ラボのチャートでは、6月に入ってからジリジリと上昇しましたが、6月12日に長い上髭付きの陰線が現れました。上がろうとする買い手の力よりも、売り手の力が上回ったようです。高値での長い上髭は、相場が反転する兆しです。

6月12日を境に相場は下がり出しましたが、6月17日に、今度は長い下髭付きの陰線が現れました。下がろうとして下がり切れなかったようです。買い手の勢いが勝りました。どうやら、底打ちのようです。次の日、予想どおりに大きく上昇して大陽線となりました。どうですか、こんな風に講釈されると、テクニカル分析が当たるように思えてきませんか。危ない危ない。当たったところだけを解説するのが、アナリストと呼ばれる人たちの常套手段です。

テクニカル分析を信じていなくても、テクニカル分析を気にしている投資家は大勢います。相場が過熱してくると、そろそろ売り時かと思う投資家が増えてきます。そんな時に、テクニカル的に売りのシグナルが点灯すると、皆が一斉に売りに走るということはよくあります。

テクニカル分析に従って日々の売買を行ってもクソの立たないかもしれませんが、完全に無視するのもどうかと思います。テクニカル分析を詳しく知る必要はありませんが、酒田五法の基本や、移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどの基本的なテクニカル指標は覚えておいて損はないと思います。

繰り返しますが、テクニカル分析は当たりません。ただし、テクニカル分析は占いと同程度の効果があります。テクニカル分析は、迷った時に背中を押してくれます。テクニカル分析は、他の投資家がどう動きそうかを予想するうえで参考にはなりますが、自分が信じるのは考えものです。

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