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2026年1月11日日曜日

若者と老人の投資戦略

適切な投資戦略は、残りの投資期間によって異なります。
若者は、時間が味方してくれます。
長期投資が確実に報われることは、過去のデータからも明らかです。
日本のバブルのピークとなった1989年12月29日に、当時の史上最高値 38,915円87銭で日経平均を買ったとしても、失われた30年と呼ばれる日本経済の停滞時代をひたすら耐え抜き、当時の株を今まで持っていれば +33.47% のプラスとなっています。
いつ買っても、長期的には必ず儲かるのが株です。

IMF によると、日本の 1989年の物価指数(年平均)は 86.95、1990年は 89.62 なので、1989年12月29日の物価指数を (86.95 + 89.62) / 2 = 88.29 と考えることにします。2025年は 112.05 なので、バブルのピークから現在までの物価上昇率は (112.05 - 88.29) / 88.29 * 100 = 26.91% となります。株価の上昇率が 33.47% なので、実質ベースでもプラスです。昨今の物価高にも負けていません。

しかし、投資期間が限られる場合は、儲かるとは限りません。
バブル崩壊後に、日経平均が 38,915円87銭を上回って再び過去最高を更新したのは、2024年3月4日です。実に 34年ぶりの最高値更新でした。
34年間待てばプラスになるかもしれませんが、待てなければ損をすることになります。
つまり、長期間待てるのなら、どれだけ下がっても必ずプラスになります。
しかし、待てる期間が限られているのなら、リスクを限定期にしなければなりません。

ここから言えることは、若者は大きなリスクを取ってでもビッグチャンスを狙うべきだということです。NISA でオルカンなどをやっている場合ではありません。時間のあるうちに資産を可能な限り増やさなければなりません。このブログでは、RKLB と JOBY に投資していますが、このようなハイリスク株が若者向けの株だと思います(新たに買うには、RKLB や JOBY は、すでに遅いかもしれません)。たとえ大損しても、投資期間が長ければ必ず取り返せます。ただし、楽をして取り返せるほど株の世界は甘くありません。

老人はリスクを限りなく小さくすべきです。残りの投資期間で損を回復できる程度にリスクを限定しなければなりません。老後の資金を大きく増やそうとして、老後の生活資金をハイリスク株に投じるのは馬鹿げています。資産が半分になってもビクともしないのなら、RKLB や JOBY のような株を買ってもかまいませんが、そうでないなら先進国の株価指数に連動する ETF やオルカンを買うのが無難です。

株が趣味だというのなら、アドレナリン出まくりの投機も面白いかもしれません。しかし、資産を安全かつ大きく増やしたいのなら、それなりの努力が必要です。努力なしにオルカンや AI で資産を増やそうと思っても、大して増えないのが現実です。

このブログの資産運用は 2年前の年初に開始しました。最初に 100万円、その後は毎月 2万5,000円ずつを証券口座に入金し、それを 3本の ETF と 2本の個別株で運用しています。リスクとリターンのバランスは取れていると思います。

ちなみに、投資開始以来の累積積立額と保有資産総額の推移は、次のとおりです。資産総額と累積積立額との差が利益です。資産は順調に増えています。


この先、予期しない下落に見舞われるかもしれません。そのときでも、損を限定的にできるように頑張りたいと思います。

2025年11月2日日曜日

RKLB の株価は割高か?

RKLB の現在の株価は 62.98ドルです。
この株価が割高かどうかを計算してみたいと思います。

Electron の打ち上げ 1 回あたりの収益は 750万ドルです。利益率を 30%とすると、打ち上げ 1回あたりの利益は 225万ドル。月2回、年間に24回打ち上げるとすると、Electron による年間利益は 5,400万ドルです。

同様に、Neutron についても、1回あたりの金額 5,000万ドル、利益率 30%、年間打ち上げ回数 12回として計算すると、Neutron による年間利益は 1億8,000万ドルとなります。

Electron と Neutron の打ち上げによる利益は、5,400 + 18,000 = 23,400 万ドルです。
宇宙システムの利益を打ち上げによる利益の 2倍とすると、総利益は 23,400 + 23,400 × 2 = 70,200万ドル。
これを発行済株式数 4億8,396万665 で割ると、1 株あたりの利益(EPS)は 1.45 ドルです。

これに PER を掛けた値が理論株価です。仮に PER を 35 倍とすると理論株価は 50.77 ドルとなりますが、この理論株価計算の前提となっている Electron 24回、Neutron 12回、宇宙システムの利益が打ち上げの利益の 2倍という値は、2028年末ごろの RKLB の姿なので、年利 4% と仮定して現在の株価に割り戻すと、現在の理論株価は 45.13ドルとなります。

つまり、RKLB の現在の株価 62.98ドルは、平均的な銘柄に比べて割高ということになります。ただし、RKLB に対する成長期待が高まると PER はどんどん上昇します。そのときの株価は、次のようになります。
  • PER 40 倍 -- 株価 51.58ドル
  • PER 50 倍 -- 株価 64.48ドル
  • PER 60 倍 -- 株価 77.37ドル
  • PER 70 倍 -- 株価 90.26ドル
  • PER 100 倍 -- 株価 128.95ドル
  • PER 200 倍 -- 株価 257.89ドル
今後もさらなる急成長が期待されているテスラの PER は 205 倍なので、RKLB の株価が 200ドルを超える可能性もあります。夢株とはそういうものです。もっとも、私は現実主義者です。現在の株価からさらに買い上がろうとは思いません。

2024年10月7日月曜日

ロケット・ラボの適正株価

ロケット・ラボ(RKLB)の株価が年初始値の 5.45ドルから 10月4日終値の 9.80ドルまで、+79.82% 上昇しました。4月16日に記録した今年の最安値 3.47ドルに比べると +182.42% もの急上昇です。

ロケット・ラボのあまりにも早い上昇に、高値警戒感が大きくなっています。ここで一旦売るべきでしょうか、それとも、このまま持ち続けて大丈夫でしょうか。それを判断するには、ロケット・ラボの適性株価を知ることが大切です。

PSR(株価売上倍率)から計算する

ロケット・ラボの現在の時価総額は 48.67億ドルで、2024年第2四半期の売上高 1.06 億ドルを 4倍して計算した年間売上高 4.24 億ドルの 11.48倍です。つまり、ロケット・ラボの現在の PSR(株価売上倍率)は 11.48倍です。

他の米国企業の PSR を見ると、テスラ 8.35、エヌビディア 31.94、アマゾン 3.20、アルファベット(グーグルの親会社) 6.34、マイクロソフト 12.61、メタ 10.16、アップル 9.09 です。PSR が 20倍以上の場合は割高、PSR が 0.5倍以下の場合は割安といわれており、ロケット・ラボの現在の株価は適正価格といえます。生成 AI 向け半導体製造で注目されているエヌビディアなどに比べると、現在の 3倍近く上昇しても不思議ではありません。

ロケット・ラボは、2021年7月の投資家向けプレゼンテーションで長期業績見通しを発表しています。それによると、2027年の売上高は 15.71億ドルと予想されています。PSR を 10倍として計算すると、2027年の適正時価総額は 157.1 億ドル。この値を発行済株式数 4億9664万で割って得られた 31.63ドルが、2027年末の適正株価ということになります。

上の計算によると、現在の株価が約10ドルなので、あと 3年強で 3倍になると予想されます。投資家がニュートロンの開発成功による事業拡大を織り込み始めると、エヌビディアのように PSR が 30倍くらいになっても全然おかしくないので、今後、短期間で 30ドル付近まで急上昇する可能性も否定できません。

EV/EBITDA 倍率から計算する

EV は時価総額です。上記にも示しましたが、ロケット・ラボの現在の時価総額は 48.67億ドルです。

EBITDA は税金、利払い、減価償却を考慮しないときの企業利益のことで、企業買収したときの年間回収可能金額を意味します。たとえば、ある企業の買収に 10億円を要した場合、その企業の EBITDA が 1 億円だとすると、買収コストの回収に 10年かかる計算になります。

ロケット・ラボは、前出の長期見通しで EBITDA の見通しも公開しています。それによると、 ロケット・ラボの 2027年の EBITDA は 5.05億ドルと予想されています。

米国の主な企業の EV/EBITDA (今期予想)は、テスラ 55.756 倍、エヌビディア 36.967 倍、アマゾン 14.075 倍、アルファベット(グーグルの親会社) 13.317 倍、マイクロソフト 20.428 倍、メタ 15.343 倍、アップル 25.29 倍となっています。

ロケット・ラボの 2027年の EV/EBITDA を 30倍とした場合、時価総額は 5.05 × 30 = 151.5 億ドル。株価は 151.5 ÷ 4.9664 = 30.5 ドルとなり、やはり 2027年には 30ドル付近まで上昇する計算になります。

RKLB の長期見通しは正しいか?

上の 2つの議論は、ロケット・ラボが 2021年7月に公開した長期見通しに基づいています。その長期見通しですが、すでに事業計画の一部が修正されています。

2021年当時、新型ロケット「ニュートロン」の初打ち上げは 2024年の予定でしたが、2025年半ばに延期されました。開発費は 2億ドルの予定でしたが 3億ドルに膨らんでいます。

開発費の増加によって資金が枯渇するようなら大変ですが、ロケット・ラボには十分な資金があるため、心配する必要はなさそうです。しかし、開発の遅れは問題です。ニュートロンが戦力になるのが遅れるため、長期見通しは 1年程度後ズレすると見ておいたほうが良さそうです。つまり、株価が 30ドル付近に達するのは 2028年ごろになりそうです。

結 論

現在のロケット・ラボの株価 9.80ドルは割高ではなさそうです。
2028年ごろには 30ドル付近まで上昇する可能性があります。

ただし、ニュートロン開発の進捗状況によっては、見通しが大きく変わる可能性があります。

2024年9月20日金曜日

新リスクパリティ計算方法

リスクが均等になるように保有資産を配分するのがリスクパリティ戦略ですが、スタートアップ企業株などのリスク資産は、この戦略に含めるべきではなさそうです。

このブログでは、リスク許容度を考慮して、リスク資産の割合を最大15%と定めています。これは、リスク資産の割合が 15%を超えたら、それ以上は買わないという意味です。超過した分を売らなければならないという意味ではありません。

しかし、リスク資産の割合は、個人個人の必要性とリスク許容度に応じて裁量で決めるべきです。たとえば、資産を3年で倍にする必要がある場合は、期待収益率の高いリスク資産の比率を高める必要があります。リスク許容度が大きければ、リスク資産の割合が 50% やそれ以上であっても問題ないかもしれません。中身を十分に理解したうえで覚悟を持って望むのであれば、レバナス 1 本という選択肢も、私はアリだと思います。レバナスについては、「レバナスとオルカン」を参照してください。

このブログは安全重視の資産運用なので、資産構成の 15% をリスク資産枠として確保し、それ以外の銘柄をリスクパリティとなるように残りの85%の部分に配分します。

リスク計算の対象は、最低6ヵ月とします。今回の計算では、ロケット・ラボ以外の3銘柄の年初来の日々の終値の前日比の標準偏差を計算し、その逆数に基づいて、それら3銘柄の合計が85%となるように比例配分します。


上表の最下段が今回の計算で求められた保有資産の目標構成割合です。今後の買い付けは、この値を参考にして行います。

2024年8月31日土曜日

リスクパリティの計算方法

リスクパリティとは、各銘柄のリスク量(金額)が均等(パリティ)になるように保有資産を構成することです。たとえば A と B、2つの銘柄を保有していて、A のリスク率が 0.1、B のリスク率が 0.2 だとした場合、A を 10,000円分保有しているとリスク量は 10,000円 × 0.1 = 1,000円、B を 5,000円分保有しているとリスク量は 5,000円 × 0.2 = 1,000円 となって、両者が等しくなります。

つまり、A と B の保有金額比を、A と B のリスク率の逆数の比にしてやると、両者のリスク量が等しくなります。上の例に当てはめると、計算式は A:B = 1 ÷ 0.1 : 1 ÷ 0.2 = 10:5 = 2:1 となります。資産構成比率は A が 2 ÷ (1 + 2) × 100 = 66.7%、B が 1 ÷ (1 + 3) × 100 = 33.3% です。

このブログでは4銘柄を保有しているので、それらのリスクパリティの構成割合を計算してみます。計算には、日々の値動きの直近3ヵ月の平均標準偏差を使用します。各銘柄の値動きの直近3ヵ月の標準偏差は次のとおりです。日々の値動きの標準偏差の計算方法については、「値動きの平均とばらつき」を参照してください。


それぞれの標準偏差の3ヵ月平均の逆数の比率でポートフォリオを構成するとリスクパリティになるので、まず、それぞれの逆数を求めます。
  • インデックスFTOPIX (1308) = 1 ÷ 2.02 = 0.50
  • ISS&P500米国株 (1655) = 1 ÷ 1.42 = 0.70
  • NFインド株 (1678) = 1 ÷ 1.72 = 0.58
  • ロケット・ラボ (RKLB) = 1 ÷ 4.23 = 0.24
各銘柄の逆数の総和は 2.02 なので、それぞれの構成パーセンテージは次のようになります。
  • インデックスFTOPIX (1308) = 0.50 ÷ 2.02 × 100 = 24.6
  • ISS&P500米国株 (1655) = 0.70 ÷ 2.02 × 100 = 34.9
  • NFインド株 (1678) = 0.58 ÷ 2.02 × 100 = 28.8
  • ロケット・ラボ (RKLB) = 0.24 ÷ 2.02 × 100 = 11.7
現在の構成割合との比較を示します。RP はリスクパリティの略です。


現在の各銘柄のリスク率に対して、インデックスFTOPIX (1308)とロケット・ラボ (RKLB)の構成割合が多すぎるので、今後はそれらの購入を抑え、他の2銘柄、ISS&P500米国株 (1655)と NFインド株 (1678)を積極的に購入することにします。

リスクパリティによるポートフォリオの構成は、米国のノーベル賞経済学者ハリー・マーコウィッツ博士の「現代ポートフォリオ理論」で示された投資戦略で、多くのヘッジファンドや機関投資家が採用しています。しかし、なぜこの戦略が良いのかについては、明確な根拠はありません。この理論が現実の株価にも適用できると証明されたわけではありませんが、こうすることで良い成績があげられることが経験的に知られています。

ただし、最も儲かっているロケット・ラボをこれ以上買わないことに対して、直感的に違和感を感じるかもしれません。上がる株は益々上がる、上がらない株はいつまでたっても上がらない。よく知られた経験則です。上がっている株を買い、上がらない株は買わないというトレンドフォロー戦略もあります。

このブログでは、リスクパリティ戦略を基本にしながら、他の戦略も加味してポートフォリオを構成していきたいと思っています。なお、今回は直近3ヵ月間の株価のばらつきからリスクを計算しましたが、長期投資ではもう少し長い期間からリスクを計算したほうが良いかもしれません。

リスクパリティ戦略のデメリットや、リスク計算のベースとなる計算期間については、後日考察したいと思います。

【9月2日追記】
上記の計算方法では、1ヵ月ごとの標準偏差の3ヵ月平均からRP構成割合を計算していますが、直近の3ヵ月間の日々の値動きから直接標準偏差を求める方式に変更します。過去6ヵ月についても計算してみましたが、3ヵ月と6ヵ月の間に大きな差はありませんでした。なので、今後は過去3ヵ月間の値動きの標準偏差から計算したRP構成割合を使用することにします。

2024年7月15日月曜日

ローソク足チャートの話し

将来の株価を正しく予想できれば、必ず儲かります。
投資家は、将来の株価を何とかして正確に予想できないかと知恵を絞ってきました。

日本では、江戸時代に米相場が始まりました。米を安く買って、高くなってから売れば儲かります。相場師たちは、どうすれば儲かるかを必死で考えました。そうして生まれた日本人の大発明が、ローソク足チャートです。

ローソク足チャート、知っていますよね。騰落、始値、高値、安値、終値がひと目でわかるように図示したグラフです。下図は、6月以降のロケット・ラボのローソク足チャートです。下図は、1本の線が 1日の値動きを表すので、日足チャートと呼ばれます。


ローソク足チャートを誰が、いつ発明したのかは不明です。たとえば、マネックス証券の Web サイトには「ローソク足チャートは、日本の江戸時代に生まれた伝統のあるチャートで、現在では海外でも広く使われています」と記載されていますが、日本テクニカルアナリスト協会の Web サイトには「ローソク足は明治30年代にダイヤモンド社が開発した日本式チャートです」と記載されています。明治30年代には、まだダイヤモンド社は存在しなかったという反論があったりして、どの説が本当なのかはわかりません。当のダイヤモンド社には自社が開発したという記録は残っていないようです。

ローソク足は相場の勢いを見るには非常に便利なので、誰がいつ発明したかはともかく、似たようなグラフは、江戸時代から描かれていたのではないかと思います。手描きの場合、陽線(始値より終値が高い)は赤い墨で描き、陰線(始値より終値が安い)は黒い墨で描きました。印刷が普及してからは、白黒印刷に対応して陽線は白枠、陰線は黒塗りで表すようになりました。

ローソク足を見て、将来の値動きを予想する手法の 1つに「酒田五法」があります。酒田五法は江戸時代の伝説の相場師、本間宗久が考案したものと伝えられています。酒田五法に基づくローソク足の見方の概要については、ザイFX の「ローソク足の組み合わせ・酒田五法・平均足」を見ると良いと思います。酒田五法がどんな感じのものかを理解できると思います。赤とか黒とかが出てくるのは、墨で描いていた時代の名残です。

酒田五法は米相場のためのテクニカル分析です。それを現代人が株式相場や FX に適用しても、ほとんど当たりません。それどころか、数多くある様々なテクニカル分析に基づいて動作するアルゴリズムを搭載したコンピュータを使って売買しても、どれ 1つとして儲かりません。実践した人は何人もいます。そして、口を揃えて言います。「テクニカル分析はグソの役にも立たない」と。

私は、テクニカル分析を全否定する気はありません。1本1本のローソク足には、売買した人たちの思いが詰まっているはずです。先に示したロケット・ラボのチャートでは、6月に入ってからジリジリと上昇しましたが、6月12日に長い上髭付きの陰線が現れました。上がろうとする買い手の力よりも、売り手の力が上回ったようです。高値での長い上髭は、相場が反転する兆しです。

6月12日を境に相場は下がり出しましたが、6月17日に、今度は長い下髭付きの陰線が現れました。下がろうとして下がり切れなかったようです。買い手の勢いが勝りました。どうやら、底打ちのようです。次の日、予想どおりに大きく上昇して大陽線となりました。どうですか、こんな風に講釈されると、テクニカル分析が当たるように思えてきませんか。危ない危ない。当たったところだけを解説するのが、アナリストと呼ばれる人たちの常套手段です。

テクニカル分析を信じていなくても、テクニカル分析を気にしている投資家は大勢います。相場が過熱してくると、そろそろ売り時かと思う投資家が増えてきます。そんな時に、テクニカル的に売りのシグナルが点灯すると、皆が一斉に売りに走るということはよくあります。

テクニカル分析に従って日々の売買を行ってもクソの立たないかもしれませんが、完全に無視するのもどうかと思います。テクニカル分析を詳しく知る必要はありませんが、酒田五法の基本や、移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどの基本的なテクニカル指標は覚えておいて損はないと思います。

繰り返しますが、テクニカル分析は当たりません。ただし、テクニカル分析は占いと同程度の効果があります。テクニカル分析は、迷った時に背中を押してくれます。テクニカル分析は、他の投資家がどう動きそうかを予想するうえで参考にはなりますが、自分が信じるのは考えものです。

2024年6月16日日曜日

値動きの平均とばらつき

前回に続いて、このブログのポートフォリオを構成している 4 銘柄の分析です。今回は、それらのリスクとリターンについて考えます。

下の表は、各週末の終値から計算した値動き(前週比)と、値動きの平均および "ばらつき" (標準偏差)です。標準偏差は高校数学Ⅰの学習内容なので、高校を卒業した人なら知っているはずですが、忘れた場合はこちらの記事が役に立ちます。


株価の時系列データは「Yahoo!ファイナンス」、「かぶたん」、「みんかぶ」などのサイトで取得できます。データの平均値や標準偏差は Excel の AVERAGE 関数および STDEV.P 関数で求めることができます。

標準偏差とは、個々のデータと平均値との相違の平均のことで、一連のデータがどれだけばらついているかを表します。(厳密には、標準偏差とは平均値との差の2乗の平均の平方根です。基準値(一般的には中央値)との差の絶対値の平均は "平均偏差" と呼ばれます)。

上の表を見てわかるように、全期間の平均値は ISS&P500米国株 (1655) が最も高く、ロケット・ラボ (RKLB)が最も低くなっています。これは、昨日示した株価の動きと一致しています。この平均値は、投資のリターンと考えることができます。

標準偏差は逆に、ロケット・ラボ (RKLB)が最も高く、ISS&P500米国株 (1655) が最も低くなっています。標準偏差とは、株価の上下の振れ幅、つまりリスクの大きさを表します。

全期間の平均と標準偏差から、ISS&P500米国株 (1655)がリターンが最も高く、リスクが最も低いことがわかります。一方、ロケット・ラボ(RKLB) はリターンはマイナス、リスクは非常に高いです。全期間のデータ的には、ロケット・ラボ(RKLB) は投資不適格(ハイリスク・マイナスリターン)です。

しかし、上のデータを 1~4月 と 5月以降に分け、5月以降の平均値と標準偏差を計算すると、ロケット・ラボ(RKLB) の平均値は他の銘柄よりも高くなり、標準偏差は NFインド株 (1678) に近いレベルまで低下しています。つまり、リスクは若干高いですが、リターンは最も高い銘柄(ハイリスク・ハイリターン)となっています。

株価の値動きの平均とばらつき(標準偏差)を見ることで、各銘柄のリスクとリターンの大きさを把握することができるので、今後は、各銘柄の日次データに基づいて、毎月の値動きの平均値と標準偏差を見ていくことにします。

このブログの4銘柄の 1月から5月までの日次データの値動きの平均値と標準偏差は、次のとおりです。


このデータは、各銘柄のリスクとリターンに基づいてポートフォリオを見直すときに役立ちそうです。

2024年6月15日土曜日

時間的分散投資の功罪

このブログのポートフォリオは、インデックスFTOPIX (1308)、ISS&P500米国株 (1655)、NFインド株 (1678)、ロケット・ラボ (RKLB) の 4本で構成されています。

それぞれの銘柄の年初来の動きを、1月5日時点の株価を 100 としてグラフにすると、次のようになります。


最も上昇しているのは ISS&P500米国株 (1655)です。巨大ハイテク銘柄に押し上げられて調子良く推移しています。

ロケット・ラボは年初から大きく値下がりしましたが、5月以降になって回復しつつあります。年初の株価に比べて、まだ約20%値下がりしたままですが、このブログでは時間的分散購入するとともに、大きく下がったところでは若干多く買っているので、平均取得単価は 4.27ドルと低く抑えられています。


ロケット・ラボの現在の株価は 4.39ドルなので、年初比で大きく下がっていても利益が出ています。時間をかけて少しずつ買っていく時間的分散投資の効果が最大限活かされています。

ただし、ISS&P500米国株 (1655)のように、大きく下がることなく上がり続ける銘柄では、平均取得単価が年初の価格より上がってしまうので、結果的には、年初にドンと一括で買っておいたほうが良かったということになります。年初に一括購入した人は、今、20% 以上の利益を前にして大喜びです。このブログの ISS&P500米国株 (1655) の含み益は 11.6% で、年初に一括購入した場合の半分程度にとどまっています。

株価の推移は誰にもわかりません。ISS&P500米国株 (1655)は、足下は順調に上がり続けていますが、それが永久に続くとは限りません。どこが底で、どこが天井かがわからないからには、時間をかけてゆっくりと買い進める時間的分散投資が、危険を避け、チャンスを取り込むうえで、バランスが良いのではないかと思います。

もちろん、底や天井をズバリと当てることができれば、大儲けできます。たとえば、ロケット・ラボを年初に空売りし、4月末に全力で大きく買えば 1.5倍くらいになっているはずです。日々の上がり下がりで確実に儲けられれば、さらに資産を大きく増やせるかもしれません。

しかし、そんなことができるのは、伝説の天才投資家だけです。底や天井を当てられない人には、時間的分散投資がお勧めです。

2024年5月29日水曜日

オルカンのデメリット

オルカンとは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) という投資信託のことです。全世界の株価と連動するように設計されているので、株の知識がゼロでも、平均的な投資収益が得られます。このため、新NISAで最も人気の投資信託となっています。

オルカンには、次の 2つのデメリットがあります。
  1. 平均以上の成績を上げられない
  2. 永久に投資の知識が身に付かない
全世界に投資家が100人いたとします。オルカンを買った投資家は、他に何の努力をしなくても、50番目くらいの投資成績を収めることができます。トップにはなれませんが、ビリにもなりません。

まったく勉強しなくても、偏差値50の成績が取れます。
この成績で満足できる人は、オルカン一択投資が向いています。
株の知識がなくても、世界の経済成長の果実を分けてもらえます。
でも、何の勉強もしないのですから、永久に株の知識は身に付きません。

平均点で満足できない人は、それぞれの投資知識や投資経験に応じて、各種 ETF や個別株を買うことになります。この場合、オルカンより良い成績を収めることができるかもしれませんが、オルカンより悪い成績に終わる可能性もあります。

ETF はオルカンより少しリスクが高く、個別株はETFよりもリスクが高いです。それぞれの投資対象のリスクを考慮しながら、最大のリターンを得るために投資対象を組み合わせたものがポートフォリオです。資金をうまく運用するには、知識と経験が必要です。

このブログは、投資の知識と経験を積むための入門書です。3つの ETF と 1 つの個別株を組み合わせたポートフォリオからスタートしています。オルカンより少しリスクは高いですが、安全性は確保しているつもりです。株式投資の面白さを味わいながら、自分の目標を達成するための投資戦略を設計できるだけの知識を身に付ける。それが、このブログの狙いです。 

2024年3月23日土曜日

レバナスとオルカン

何の勉強もせずに全国模試で偏差値 50 の成績が取れるのであれば、あなたはその方法を使いますか? それとも、有名大学合格を目指して偏差値 75 以上を取れるように頑張りますか? 偏差値 75 を達成するには、人並み以上の良い頭と猛烈な勉強が必要です。

ちょっと待ってください。勉強しなくても誰でも偏差値 75 以上を実現できるかもしれない方法があります。ただし、死ぬほど怖い目に合うかもしれません。

株で儲けようとすれば、他の人よりも賢く機敏に行動する必要があります。そのためには、懸命に勉強する必要があります。度胸も経験も必要です。少なくとも、世の中に ETF (上場投資信託)が登場するまではそうでした。

「オルカン」の愛称で親しまれている「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託を知っていますか? 新NISAで最も人気のある投資信託です。

オルカンは ETF ではないので証券市場で売買できるわけではありませんが、銀行や証券会社、SBI 証券楽天証券などのネット証券でも簡単に売買できます。投資資金が世界中の代表的な企業の株価に基づく指数に連動するように運用されるので、銘柄選択の知識がなくても全世界の株に投資したのと同じ結果、つまり偏差値 50 を実現できます。

このブログでは、オルカンより少し上の運用成績を目指しています。オルカンは、全世界の株式を含んでいますが、このブログでは、日本株、米国株、インド株をメインの投資対象とし、その割合を約 3:3:2 で運用しています。それに加えて、近い将来爆発的に成長することを期待して、ハイリスクではありますが、ロケット・ラボという宇宙企業を買っています。

偏差値 50 じゃ有名大学に入れないじゃない。自分は有名大学を目指しているんだという人に「オルカン」は向きません。では、有名大学の合格ラインとされる偏差値 75 以上の実力を身に付けるために、死にものぐるいで勉強しますか? そんな頭もないし、勉強もイヤだけど、でも有名大学に入りたい。そんな人の夢を叶えるのが「レバナス」です。

レバナスとは「楽天レバレッジNASDAQ-100」や「iFreeレバレッジ NASDAQ100」といった投資信託のことです。米国の ナスダック100 指数の 2 倍の値動きとなるように設計されています。

ナスダック100の構成銘柄で大きな比重を占めるのは、マグニフィセント・セブン(素晴らしい7社)と呼ばれる7つの巨大ハイテク企業(グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)です。マグニフィセント・セブンに代表される米国のハイテク企業は、近年急成長しました。それに伴ってナスダック100指数も急上昇し(1年で約1.5倍)、その2倍の値動きをするレバナスは、さらに大きく(1年で約2倍)値上がりしました。

米国のハイテク企業が今後も成長し続けるなら、全力でレバナスを購入して "億" の資産を作ることが可能かもしれません。

もう仕事に縛られるのはイヤだ。可能な限り早く仕事をやめて、資産運用で食べていけるようになりたい。英語で言うと、FIRE (Financial Independence, Retire Early = 経済的自立、早期リタイヤ)です。FIRE を目指す多くの人が、夢を実現しようとして購入したのがレバナスです。レバナスで 1 億円の資産を形成し、それを利回り 4% が期待できる S&P で運用すれば、年間 400 万円を生活に使っても資産は減らないという計算です。FIRE については、「今話題のFIREを解説!資産運用で早期リタイアを実現する方法とは?」が上手にまとめられていて、わかりやすいです。ただし、セルサイドの情報なので、それを念頭に読む必要があります。

日本で FIRE やレバナスが話題になったのは 2021年です。しかし、米国は2021年下期からインフレが加速しはじめ、そのインフレを抑えるために FRB は2022年3月に利上げを開始します。NASDAQ は 2021年11月から下落が始まり、2022年6月にはレバナスの価格がピークの半分以下になってしまいます。レバナスがブームとなったときに購入した人は、投資を始めてから 1 年もたたないうちに資産が半分以下になってしまいました。

資産が半分以下になっても平然としていられる人は、レバナス投資に向いています。しかし、ほとんどの人は、二度とそんな経験をしたくないと思ったはずです。金融庁も、レバレッジ型の投資信託は積立投資には不向きだということで、NISA 口座での購入は認めていません。詳しくは、「「レバナス民の悲劇」はなぜ起きたのか? 資産形成のための投資に必要な3つのこと」を参照してください。

レバナスが長期投資に適するのかどうかの結論は、まだ出ていません。しかし、何人がレバナスに挑戦し、何人が途中で脱落し、何人が資産形成に成功しのかがわからないうちは、レバナスを使用した資産形成には失敗するリスクがあるということを理解しておく必要があります。

このブログでは、確実に上昇が見込めるときにレバレッジ型ETF を活用することも視野に入れています。ただし、レバレッジ型 ETF を長期にわたって保有するのはリスクが高すぎるので、株が暴落したときの底値買いなど、ここ一番のときに限って使おうと思っています。

2024年3月14日木曜日

ETF を買う理由

このブログでは、次の 3 本の ETF を軸に投資しています。
  • インデックスFTOPIX (1308) -- 日本の TOPIX に連動
  • ISS&P500米国株 (1655) -- 米国の S&P に連動、為替ヘッジなし
  • NFインド株 (1678) -- インドの Nifty に連動、為替ヘッジなし
TOPIX は「東証株価指数」のことで、主に東証プレミアム市場に上場している企業の時価総額を合計して指数化したものです。この指数よりも株価の上昇速度の早い銘柄はいくつもあります。それらの銘柄を購入すれば、TOPIX を上回る成績を上げることができます。

しかし、どの銘柄が TOPIX よりも上がるかを予測するのは極めて困難です。プロの投資ファンドでは、大勢の専門家が TOPIX などの指数を上回る成績を収めようと日夜懸命に努力していますが、彼らですら簡単に上回ることはできません。

相場の値動きに関する理論の 1 つに「ランダム・ウォーク理論」というのがあります。この理論では、株価の予測は不可能とされます。仮に、猿に目隠しをして新聞の株式欄に向けてダーツ投げをさせ、当った銘柄で構成したポートフォリオと、ベテランの投資家が選択した銘柄で構成したポートフォリオの運用成績を比較すると、勝つ確率はどちらも変わらないというのが、この理論の結論です。

専門家が選択しても勝つ確率が同じなら、一般投資家が銘柄を選択する行為に何の意味もありません。ならば、全銘柄の平均の成績を収めればいいんじゃないと考え、それを実現する ETF を買うのが合理的ということになります。

各種の指数に連動する ETF で資産を運用する投資方法を「パッシブ投資」、または「インデックス投資」といいます。「インデックス」とは「指数」のことです。ETF は特定の指数に連動するように設計されています。

しかし、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットのように、投資の世界には長期にわたって勝ち続けている人がいます。彼らの銘柄選択の結果は、たとえば S&P といった代表的指数を上回っています。このように、指数による運用を上回る結果を得ようとする投資方法を「アクティブ投資」といいます。

アクティブ投資は、企業の詳細を丹念に調べたり、経済情勢を的確に分析する必要があります。他に仕事がある人には、そんな時間はありません。アクティブ投資はプロに任せ、一般投資家はインデックス投資が良いのではないかと思います。

ETF によるインデックス投資は、個々の企業に関する情報や知識に乏しい人でも、平均的な成績を収めることができます。トップになることはできませんが、ビリになることもありません。一般投資家にとって、ETF によるインデックス投資は、投資の王道といえます。

ただし、情報量の少ない一般投資家による銘柄選択にはギャンブル的要素はありますが、このブログではリスク資産の一例として 1 銘柄買っています。


保有資産は上図のとおり ETF は全部上昇していますが、個別株として購入したロケット・ラボは散々な成績です。こういう会社が大きくなるのを見守るのも投資の楽しみの 1 つです。株価は低迷していますが、計画どおりに事業が進んでいるので、このまま持ち続けようと思います。

注: このブログはロケット・ラボの購入を推奨しているわけではありません。他の個別株を買っても良いし、個別株を1つも買わないという選択もありです。見てのとおり、ロケット・ラボの値動きは激しく、極めてハイリスクです。このブログでは、リスク資産の配分比を15%以下と定めています。