2024年10月7日月曜日

ロケット・ラボの適正株価

ロケット・ラボ(RKLB)の株価が年初始値の 5.45ドルから 10月4日終値の 9.80ドルまで、+79.82% 上昇しました。4月16日に記録した今年の最安値 3.47ドルに比べると +182.42% もの急上昇です。

ロケット・ラボのあまりにも早い上昇に、高値警戒感が大きくなっています。ここで一旦売るべきでしょうか、それとも、このまま持ち続けて大丈夫でしょうか。それを判断するには、ロケット・ラボの適性株価を知ることが大切です。

PSR(株価売上倍率)から計算する

ロケット・ラボの現在の時価総額は 48.67億ドルで、2024年第2四半期の売上高 1.06 億ドルを 4倍して計算した年間売上高 4.24 億ドルの 11.48倍です。つまり、ロケット・ラボの現在の PSR(株価売上倍率)は 11.48倍です。

他の米国企業の PSR を見ると、テスラ 8.35、エヌビディア 31.94、アマゾン 3.20、アルファベット(グーグルの親会社) 6.34、マイクロソフト 12.61、メタ 10.16、アップル 9.09 です。PSR が 20倍以上の場合は割高、PSR が 0.5倍以下の場合は割安といわれており、ロケット・ラボの現在の株価は適正価格といえます。生成 AI 向け半導体製造で注目されているエヌビディアなどに比べると、現在の 3倍近く上昇しても不思議ではありません。

ロケット・ラボは、2021年7月の投資家向けプレゼンテーションで長期業績見通しを発表しています。それによると、2027年の売上高は 15.71億ドルと予想されています。PSR を 10倍として計算すると、2027年の適正時価総額は 157.1 億ドル。この値を発行済株式数 4億9664万で割って得られた 31.63ドルが、2027年末の適正株価ということになります。

上の計算によると、現在の株価が約10ドルなので、あと 3年強で 3倍になると予想されます。投資家がニュートロンの開発成功による事業拡大を織り込み始めると、エヌビディアのように PSR が 30倍くらいになっても全然おかしくないので、今後、短期間で 30ドル付近まで急上昇する可能性も否定できません。

EV/EBITDA 倍率から計算する

EV は時価総額です。上記にも示しましたが、ロケット・ラボの現在の時価総額は 48.67億ドルです。

EBITDA は税金、利払い、減価償却を考慮しないときの企業利益のことで、企業買収したときの年間回収可能金額を意味します。たとえば、ある企業の買収に 10億円を要した場合、その企業の EBITDA が 1 億円だとすると、買収コストの回収に 10年かかる計算になります。

ロケット・ラボは、前出の長期見通しで EBITDA の見通しも公開しています。それによると、 ロケット・ラボの 2027年の EBITDA は 5.05億ドルと予想されています。

米国の主な企業の EV/EBITDA (今期予想)は、テスラ 55.756 倍、エヌビディア 36.967 倍、アマゾン 14.075 倍、アルファベット(グーグルの親会社) 13.317 倍、マイクロソフト 20.428 倍、メタ 15.343 倍、アップル 25.29 倍となっています。

ロケット・ラボの 2027年の EV/EBITDA を 30倍とした場合、時価総額は 5.05 × 30 = 151.5 億ドル。株価は 151.5 ÷ 4.9664 = 30.5 ドルとなり、やはり 2027年には 30ドル付近まで上昇する計算になります。

RKLB の長期見通しは正しいか?

上の 2つの議論は、ロケット・ラボが 2021年7月に公開した長期見通しに基づいています。その長期見通しですが、すでに事業計画の一部が修正されています。

2021年当時、新型ロケット「ニュートロン」の初打ち上げは 2024年の予定でしたが、2025年半ばに延期されました。開発費は 2億ドルの予定でしたが 3億ドルに膨らんでいます。

開発費の増加によって資金が枯渇するようなら大変ですが、ロケット・ラボには十分な資金があるため、心配する必要はなさそうです。しかし、開発の遅れは問題です。ニュートロンが戦力になるのが遅れるため、長期見通しは 1年程度後ズレすると見ておいたほうが良さそうです。つまり、株価が 30ドル付近に達するのは 2028年ごろになりそうです。

結 論

現在のロケット・ラボの株価 9.80ドルは割高ではなさそうです。
2028年ごろには 30ドル付近まで上昇する可能性があります。

ただし、ニュートロン開発の進捗状況によっては、見通しが大きく変わる可能性があります。

0 件のコメント: