リスクパリティとは、各銘柄のリスク量(金額)が均等(パリティ)になるように保有資産を構成することです。たとえば A と B、2つの銘柄を保有していて、A のリスク率が 0.1、B のリスク率が 0.2 だとした場合、A を 10,000円分保有しているとリスク量は 10,000円 × 0.1 = 1,000円、B を 5,000円分保有しているとリスク量は 5,000円 × 0.2 = 1,000円 となって、両者が等しくなります。
つまり、A と B の保有金額比を、A と B のリスク率の逆数の比にしてやると、両者のリスク量が等しくなります。上の例に当てはめると、計算式は A:B = 1 ÷ 0.1 : 1 ÷ 0.2 = 10:5 = 2:1 となります。資産構成比率は A が 2 ÷ (1 + 2) × 100 = 66.7%、B が 1 ÷ (1 + 3) × 100 = 33.3% です。
このブログでは4銘柄を保有しているので、それらのリスクパリティの構成割合を計算してみます。計算には、日々の値動きの直近3ヵ月の平均標準偏差を使用します。各銘柄の値動きの直近3ヵ月の標準偏差は次のとおりです。日々の値動きの標準偏差の計算方法については、「値動きの平均とばらつき」を参照してください。
それぞれの標準偏差の3ヵ月平均の逆数の比率でポートフォリオを構成するとリスクパリティになるので、まず、それぞれの逆数を求めます。
- インデックスFTOPIX (1308) = 1 ÷ 2.02 = 0.50
- ISS&P500米国株 (1655) = 1 ÷ 1.42 = 0.70
- NFインド株 (1678) = 1 ÷ 1.72 = 0.58
- ロケット・ラボ (RKLB) = 1 ÷ 4.23 = 0.24
各銘柄の逆数の総和は 2.02 なので、それぞれの構成パーセンテージは次のようになります。
- インデックスFTOPIX (1308) = 0.50 ÷ 2.02 × 100 = 24.6
- ISS&P500米国株 (1655) = 0.70 ÷ 2.02 × 100 = 34.9
- NFインド株 (1678) = 0.58 ÷ 2.02 × 100 = 28.8
- ロケット・ラボ (RKLB) = 0.24 ÷ 2.02 × 100 = 11.7
現在の構成割合との比較を示します。RP はリスクパリティの略です。

現在の各銘柄のリスク率に対して、インデックスFTOPIX (1308)とロケット・ラボ (RKLB)の構成割合が多すぎるので、今後はそれらの購入を抑え、他の2銘柄、ISS&P500米国株 (1655)と NFインド株 (1678)を積極的に購入することにします。
リスクパリティによるポートフォリオの構成は、米国のノーベル賞経済学者ハリー・マーコウィッツ博士の「現代ポートフォリオ理論」で示された投資戦略で、多くのヘッジファンドや機関投資家が採用しています。しかし、なぜこの戦略が良いのかについては、明確な根拠はありません。この理論が現実の株価にも適用できると証明されたわけではありませんが、こうすることで良い成績があげられることが経験的に知られています。
ただし、最も儲かっているロケット・ラボをこれ以上買わないことに対して、直感的に違和感を感じるかもしれません。上がる株は益々上がる、上がらない株はいつまでたっても上がらない。よく知られた経験則です。上がっている株を買い、上がらない株は買わないというトレンドフォロー戦略もあります。
このブログでは、リスクパリティ戦略を基本にしながら、他の戦略も加味してポートフォリオを構成していきたいと思っています。なお、今回は直近3ヵ月間の株価のばらつきからリスクを計算しましたが、長期投資ではもう少し長い期間からリスクを計算したほうが良いかもしれません。
リスクパリティ戦略のデメリットや、リスク計算のベースとなる計算期間については、後日考察したいと思います。
【9月2日追記】