空飛ぶクルマの開発企業、ジョビー・アビエーション(JOBY)を 4株、成り行き注文しました。少し高いという気もしましたが、運試しなので挑戦してみることにしました。
ロケット・ラボ(RKLB)のように大きく上がってほしいですが、過度な期待は禁物です。JOBY の株価は現在 8.13ドルです。長く5ドル台から抜け出せずにいましたが、昨年11月に急騰し、現在の株価になっています。株価が急騰した原因は、JOBY 自身の業績などによるものではなく、市場の雰囲気が良かったからで、同じ分野の企業が同じように上昇しています。雰囲気で上昇しただけに、現在の株価が維持できる保証はありません。
元の 5ドル台に戻るようなことがあれば 30% くらいの損失になりますが、それも覚悟のうえです。購入金額は 5,000 ~ 5,500円くらいなので、金額的に大きな損失にはなりません。
なぜ、JOBY を買うかについて少し説明します。
JOBY の創業者で CEO のジョーベン・ビバートは、カリフォルニア州サンタクルーズの郊外の山の中で育ちました。家から最寄りのバス停まで歩いて40分だったかな? バスに乗ってサンタクルーズの学校に通っていたのですが、そのとき、空を飛んで学校に行けたらどんなに良いだろうと思ったのが、空飛ぶクルマの開発を始めたきっかけだと言います。
社名の JOBY は、ジョーベンの子供の頃の愛称です。ジョーベンは、空気力学や航空機の設計などの分野で数多くの特許を持っている生粋の技術屋です。
米国のスタートアップ企業には 2種類あります。1つは技術屋が創業した企業で、独学で宇宙工学を学んだビーター・ベックのロケット・ラボもそうです。もう 1つは投資家が金を使って設立した企業で、ジェフ・ベゾスが創業したブルーオリジンはその一例です。
私は技術屋が好きなので、技術屋が創業して頑張っている企業を見ると応援したくなります。
しかし、優秀な技術屋が頑張るだけでは企業は成功しません。最も大事なのは、市場が存在すること。その市場で優位な立場を占められること。および、価格決定権を保持できることです。
空飛ぶクルマは、作っただけでは飛ばすことはできません。自動車でも車検がないと道路を走ることはできません。空飛ぶクルマは航空機の一種なので、飛ばそうと思えば航空局の許可が必要になります。
空飛ぶクルマを量産するには、航空局から型式証明を取得する必要があります。型式証明とは、航空機の設計および製造が安全基準および環境基準を満たしているという航空局のお墨付きです。
ジョビー・アビエーションは、型式証明取得の最終段階に入っています。2025年中、または 2026年の早い時期に取得できるのではないかと見られています。機体の量産準備には、トヨタ自動車が全面協力しています。型式証明が取得できれば、世界各地で事業を開始できるようになります。株価も一気に噴き上がることでしょう。
型式証明は簡単には取得できません。日の丸ジェットとして持て囃された MRJ は型式証明取得に失敗して開発中止に追い込まれました。空飛ぶクルマの参入障壁は極めて高く、型式証明を取得してしまえば、独占的に事業展開できると思います。
ただし、簡単に黒字化するとは思わないでください。空飛ぶクルマの事業は不透明な部分が多すぎて、収益を正しく予想することが非常に困難です。ロケット・ラボに比べて、ジョビー・アビエーションの株価の上昇率がイマイチなのは、その辺りに原因があると思います。2028年頃になって、ようやく世界のいくつかの場所で空飛ぶクルマが見られるようになり、2030年頃に黒字転換するくらいに思っておいたほうが良いかもしれません。
現在開発中の空飛ぶクルマは電池式です。充電容量が限らているので近距離しか飛べません。都市間を飛行するには、燃料電池やガスタービン方式など、新しい方式の開発が必要になります。現在開発中の空飛ぶクルマは第一世代機、より長距離の飛行に対応する第二世代機が主戦場になるとの予想もあり、第一世代機の開発で先行しているからといって利益に直結するとは限らない可能性もあります。
黒字化が遅れるとどうなるでしょう?
資金が尽きると企業は倒産してしまうので、新たに株を発行して資金を調達する可能性があります。この場合、株が増えるので、1株あたりの価値は下がります。つまり、株の希薄化が起こります。
ロケット・ラボの黒字化の時期は、ニュートロンの初打ち上げの 2年後です。それがはっきりしてきたので、株価が急騰しています。しかし、ジョビー・アビエーションの黒字化は、まだ見えていません。今回、ジョビー・アビエーションを買いますが、ロケット・ラボほど安心して保有できるわけではないということを忘れないことが大切だと思います。
競合企業のアーチャー・アビエーションは?
皆で寄って集って食い物にされる企業だと思います。アーチャー・アビエーションに興味がある人は、買う前に
GRIZZLY レポートを読むことをお勧めします。この会社は好きじゃないし、この会社のことを書くと悪口ばかりになってしまいそうなので、これ以上はやめておきます。